起業精神を育む取組③ ~地域課題研究と教科「情報」との関わり~
窪川高等学校 校長 川田 弘人
既にご承知の通り、窪川高校は令和7年度から「DXハイスクール」として大きな一歩を踏み出します。DXハイスクールとは単にDX機器を使える能力を身に付ける学習を行うということではありません。現在、PCやスマートフォンが当たり前になっているように、次はDXが普通に使われる社会の中でどのように自身が振る舞うべきかを学ぶものです。
DXの一例として、コンビニエンスストア等で使われている商品管理のPOSシステムは、商品バーコードを読むことで、会計ができるだけでなく、全国あるいは地域の売れ筋を把握するデータとなり、AIによって発注、製造元の出荷調整などに使われます。そのおかげで、無駄な生産や配送等がなくなり、安定した価格で顧客の手に届きやすくなります。さらに、スマートフォン等による決済で現金を扱うことがなくなり、スムーズな会計とサービス、さらに購入データが店内の品揃えやディスプレイ(陳列)に生かされます。
このようにAIやロボット等によって時間、お金、手間などを省くだけでなく品質やサービスを向上させることがデジタルトランスフォーメーション(DX)です。また一方、DXは人口減少や少子高齢となる社会課題に有効で、DXの活用によって持続可能な社会を形成することとなります。
令和4年度、AI等が当たり前に存在するソサイエティ5.0の社会を前提として新学習指導要領に基づく高校教育が始まり、来年の3月に初めての卒業生を送り出し、その真価が問われます。本校では「起業精神を育む取組」として地域課題研究の授業を、全国では新教科「情報Ⅰ」が必修科目として設定されました。「情報」と聞くと、デジタルに関する知識やPCの仕組み、プログラミングなどが想像されますが、「情報Ⅰ」の目標には情報社会と人間の関わり」、「問題の発見、解決に向けて情報と情報技術を活用する力」、「情報社会に主体的に参画する態度」が掲げられ、次のような指導内容が示されています。
(1)情報社会の問題解決 (2)コミュニケーションと情報デザイン
(3)コンピュータとプログラミング (4)情報通信ネットワークとデータの活用
特に(1)では、課題発見や課題解決の手段・方法などを身に付ける学習が行われます。その際、情報や情報技術の適切かつ効果的な活用、情報に関する法規や制度、マナーとそれらの役割や責任、モラルも併せて学びます。
本校の地域課題研究には情報Ⅰで学ぶことが少なからず影響します。データや現象等を根拠とした課題の発見や解決の目的を設定し、その好転を課題解決の目標とします。そのうえで、その好転化を目指す探究を行います。これらの過程で、情報Ⅰで学んだことが実践され、この繋がりをより太くすることが「DXハイスクールとしての起業精神を育む取組」となります。具体には、情報Ⅱ、情報演習、情報探究、デジタルものづくりの科目を置き、地域課題研究や他の教科との連携を強めます。
このようにして、かつてない魅力化により、窪川高校はさらに「行きたいと思える学校」となるよう進化しますので、ご期待ください。
※ 写真は情報Ⅰの授業、本校RESAS教員研修より